2011-09-10
東京、恵比寿のNADiff /A/P/A/R/T/ 4Fにあります「TRAUMARIS」にて石塚隆則展が開催されます。
Open Museum Project 第一回寄贈作品決定記念展
主催:OMP (Open Museum Project)
会期:2011年9/14 - 10/ 9
オープニングレセプション:9/24(土)18:00 - 20:00
プレスカンファレンス:9/24 (土)17:00 -
登壇者:
鈴木芳雄 (編集者・美術ジャーナリスト)
関 昭郎 (東京都現代美術館 学芸員)
遠山正道 (スマイルズ代表取締役)
山口裕美(アートディレクター)
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石塚隆則の絵画作品に非凡な才能を感じ、取材のための連絡を取ったのは、もうだいぶ前のことになります。そもそも石 塚隆則の作品は、好きというよりも、気にかかる、心のどこかにひっかかる作品でした。小動物を描いた作品が多く、大胆な 色使いの奇妙な絵画で、強い印象を残し、看過することが出来ませんでした。本を書くために御世話になり、その後、少し時 間が経ったところで、彼から1通のメールが届きました。そのメールに添付された写真には、絵画からそのまま飛び出した動 物たちが、木彫の姿でアトリエいっぱいに立ち上がっていて、衝撃を受けました。
近年、現代アートの1つの傾向として、1 人のアーティストが写真や絵画、立体、映像など表現のエリアを広げる傾向があり ます。石塚隆則も絵画と木彫の両方を両輪のようにして、制作に励んでいます。特に木彫の方はアメリカ先住民のトーテムポ ールのような土着的、呪術的な雰囲気もあるし、生まれて、喰らって、交尾して、生んで、死んでいく欲望に忠実な動物たちの 生命のサイクルを彩色木彫で表現する手法は、日本の木彫の伝統を踏まえた、直球の挑戦のように思われました。アトリエ が埋まるほど作品が溜まったので、2009 年、私の企画で京橋の nca で「霊獣」展を開催、石塚隆則の木彫作品は世の中へ のデビューを果たしました。
彼の作品には、古代から日本人の DNA に刻まれた自然との一体化を尊ぶような折口信夫的な世界観が感じられ、外部か らの「まれびと」を抵抗なく受け入れてきた素直な古代の人間の香りがします。そのことが、現代人に引っかかる感覚として、 何ものかを示唆するのだと思います。
Open Museum Project の寄贈作品に選ばれた「夫婦岩」は、彼の彫刻シリーズの中でも、エポックとなる作品で、ちょうど 娘という命が生まれ、彼自身が父親になる直前のものです。日本美術史を眺めていると、それぞれのアーティストの代表作 は、そうした個人史と密接なことが多いようです。アート作品は必ず、何かと何かを繋ぎます。「夫婦岩」も間違いなく、その役 を担うことでしょう。石塚隆則の代表作「夫婦岩」が、私達の未来に受け継がれ、2011 年という時代を語り繋いでくれたらと願 っています。
山口 裕美 (Open Museum Project 発起人/アートプロデューサー)