2008 05.23 - 06.21
Installation >>
Identity IV -nca group exhibition-
会場:nca | nichido contemporary art
会期:2008年5月23日(金)- 6月21日(土)
営業時間:火-土11:00 - 19:00 / 日祝月 休廊
レセプション:2008年5月23日(金)18:00-20:00
この度、nichido contemporary artは、グループ展、”Identity”を開催いたしますのでご案内申し上げます。第4回目となります今展覧会は、美術評論家市原研太郎氏からの視点における”Identity”をテーマに、市原氏キュレーションによる10名の作家の作品を発表いたします。
「私(我々)は何者か?」という問いが、古今東西の思考の中心的なテーマとなってから久しい。それだけ人々の間で、「アイデンティティ」に対する強い関心が維持されてきたことを示している。しかし、その問いに返される答えは、収拾がつかないほど多種多様な反応となって世界に木霊している。言い換えれば、アイデンティティをどう捉えるかは、地域、時代、社会、文化によって大きく異なるということである。
「アイデンティティ」を企画の趣旨とする展覧会を開催するに当たり、私は、個々の特殊なアイデンティティを取り上げて詳細に吟味するのではなく、アイデンティティをめぐる議論が展開される礎石となる理由や動機づけに着目して、作品を選定し展示することにした。そのわけは、アイデンティティの理由や動機を鵜呑みにして、それ以上考えることを停止するのではなく、理由や動機の源や背景を省察できる作品と鑑賞者が出会い、両者に対話が生まれるようにしたいからである。理由に対する疑問は、アイデンティティを主張する人間に、その正当性の説明を促すだろうし、また動機を遡ることは、アイデンティティの背後にある欲望の所在について気づかせてくれるだろう。
そうなれば、特定の個人や集団が、それ固有のアイデンティティに執着して、他を排除したり迫害したりするといった暴力的な行為に走ることを少しでも回避できるかもしれない。それ以上に、他者のより深い理解に達するための条件を、アーティストたちの作品が提供してくれるかもしれないのである。
「アイデンティティ」は、自己の存在確認のみを目的として、内に向かって問われるのではない。その問いは、他者の存在を受容する貴重な要素として、外に向かって発せられるのである。
市原 研太郎 (美術評論家)
参加作家;Emmanuelle Antille / エマニュエル・アンティル、Bradley McCallum & Jacqueline Tarry / ブラッドレー・マッカラム&ジャクリーヌ・タリー、Enne-Liis Semper / エネリス・ゼンパー、越中 正人 / Masahito Koshinaka、ピュ~ぴる / Pyuupiru / Nona Oobach / ノナ・オーバフ、渡辺 豪 / Gou Watanabe、正木 美也子 / Miyako Masaki、 岡田 真希人 / Makito Okada
市原 研太郎:
美術評論家・京都造形芸術大学教授。美術手帳・スプラウトなどの雑誌、新聞、展覧会カタログ等に寄稿。著書に、『シグマール・ポルケ "理念なき崇高"』(1994年)、『マイク・ケリー "過剰の反美学と疎外の至高性"』(1996年)、『ゲルハルト・リヒター/光と仮象の絵画』(2002年)(以上ワコウ・ワークス・オブ・アート刊)、共著に、『VERY NEW ART 2000』(2000年)、『最新世界のアーティストファイル100』(2005年)(以上美術出版社刊)など。また、「After the Reality」(ヒロミヨシイ、2004年)、「Index」(Artzone + Tokyo Wonder Site、2005年~)など展覧会企画も行う。
協力: イスラエル大使館、 ARATANIURANO、magical,ARTROOM