マッカラム&タリー「思い通りに消せない記憶」

マッカラム&タリー
「思い通りに消せない記憶」

2009.4.11 - 5.17

インスタレーションビュー:トーキョーワンダーサイト渋谷
Press Release

TWS青山:クリエーター・イン・レジデンス成果発表展覧会「遠くて身近な歴史
-1968年そしてホロコースト」
【アーティスト】 ブラッドレー・マッカラム&ジャクリーヌ・タリー、イシャイ・ガルバシュ 
【展覧会場・会期】 トーキョーワンダーサイト渋谷|2009年4月11日(土)→ 5月17日(日)| アーティスト・トーク:4月15日(日)19:00 - 20:00

貴下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素よりトーキョーワンダーサイト(TWS)の事業運営にご高配いただき、
誠に有難うございます。
さて、この度TWS渋谷では2009年4月11日から5月17日まで「TWS青山:クリエーター・イン・レジデンス成果発表展覧会
「遠くて身近な歴史-1968年そしてホロコースト」ブラッドレー・マッカラム&ジャクリーヌ・タリー「思い通りに消せない
記憶」、イシャイ・ガルバシュ「イン・マイ・マザーズ・フットステップス」を開催いたします。
TWSは2001年よりメイキング・サイトをキーワードとして、若手作家に実験の場を提供してきました。2006年にはTWS青山:
クリエーター・イン・レジデンスを開始し、世界各国のアーティストの活動、交流拠点としてリサーチを含めた滞在制作を行なっ
ています。その活動機軸の一つとして、創造的多文化対話プログラムに継続的に取り組んでおり、今回の成果展もそのひとつで
す。今回ご紹介するブラッドレー・マッカラム&ジャクリーヌ・タリーは、TWSが試験的に実施する長期滞在プログラムにおい
て、2008年夏には制作リサーチを、2009年春には作品制作および成果発表展覧会を行うため、期間を2回に分けてTWS青山に
滞在しました。この長期滞在プログラムは、国際的に第一線で活躍しているクリエーターの長期プロジェクトの支援および実現を
円滑に行えることを目標としたものです。
ブラッドレー・マッカラム&ジャクリーヌ・タリーは、1998年より、作品を通じ共同体や歴史、社会正義について観る人に問い
続けてきたアーティストです。今回の滞在で彼らは、マーチン・ルーサー・キング氏が暗殺され、ベトナム戦争が世界中に影響を
与えた「1968年」をキーワードにリサーチを行い、同年彼らの活動拠点であるアメリカと日本で報道されたさまざまな社会問題・事
件の写真において、人々に与えた影響と両国の相互関係を考察し、その写真をもとに制作した作品を発表します。
さらに、国内外で活躍しているアーティスト/キュレーターなどから推薦を受けた才能あるアーティストを招聘する国際推薦人制度に
より、ディートマー・エルガー(ゲルハルト・リヒター・アーカイブ ディレクター)からの推薦を受け選出されたイシャイ・ガ
ルバシュをあわせてご紹介いたします。ホロコーストにおける数少ない生還者であったガルバシュ自身の母親による追想録をも
とに、ガルバシュがオランダ、ドイツ、ポーランドの各地を撮影した写真シリーズの《イン・マイ・マザーズ・フットステップス》を
展示します。
両アーティストの作品にはそれぞれ、歴史と共にめまぐるしく変化し、私たちを翻弄する社会情勢についての独自の深い洞察と
ともに、その経験に基づいた次世代へのメッセージがこめられています。
つきましては、本企画を貴媒体上でご紹介いただきたく、周知・告知活動にご協力賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
なお、4月11日に開催するオープニングレセプションへもぜひ足をお運びいただきますようお願い申し上げます。
敬白

本展に関するお問い合わせ
トーキョーワンダーサイト渋谷 担当:下倉、鬼頭、多田
TEL +81-(0)3-3463-0603 / FAX +81-(0)3-3463-0605


ブラッドレー・マッカラム&ジャクリーヌ・タリー
アメリカを拠点に、1998年以来共同で作品制作を行うブラッドレー・マッカラム(Bradley McCallum)とジャクリーヌ・タリー(Jacqueline Tarry)
は、絵画、写真、映像のみならず、パフォーマンス的要素を含んだ彫刻作品や市民団体を巻き込む大規模な公共プロジェクトなど、多様な表現方法に
よる作品を世界各地で発表しています。
表現方法は多岐にわたりますが、それぞれの作品において常に彼らのテーマとなっているのは、現代市民社会における弱者の周辺にある問題です。
異なる人種間で結ばれた夫婦であるマッカラムとタリーは、自らの立場や経験に基づき、個人的な視点、市民活動を基盤とした視点、さらには大きな
歴史的観点から、共同体や歴史、家族内での人種問題や社会正義に対する問いを、自らの作品を通して観客に投げかけています。
2005年に行った、シアトルの路上生活者を巻き込んだプロジェクト「エンデュランス」の発表につづき、今回のTWSでの長期滞在プログラムにて彼ら
は、黒人運動家の代表者マーチン・ルーサー・キング氏が暗殺された「1968年」を主題とした作品を制作しました。
1968年は、全世界で革命的な運動が勃発した年でした。アメリカでは黒人市民権運動がおこり、ベトナム戦争が世界各地へ大きな影響を与えました。
また日本国内では東大紛争をはじめとする学生運動、小笠原諸島返還、日米安保闘争、エンプラ事件などが起こりました。2008年夏に行った東京で
のリサーチで彼らは、これらの日本で起こった出来事や作品の素材としてそれぞれの報道写真の調査・収集をおこないました。また、秋に再来日した
際には、TWS渋谷にて開催した展覧会「アートの課題|多文化社会と新しいアートセンターの活動」*の関連イベントとして、1968年のムーヴメント
が今日の社会に与える意義についてのフォーラムを、キュレーターのマヌエル・ゴゴス氏(ドイツ)、ワシフ・コルトゥン氏(トルコ)、作曲家の湯
浅譲二氏と共に行っています。現代の社会思想に大きな影響を残す1968年、この年にアメリカと日本の国内で起きた社会運動や事件の報道写真を取
り上げた作品は、当時を振り返るだけでなく、現代社会のあり方を改めて考察する機会となるでしょう。
*「アートの課題|多文化社会と新しいアートセンターの活動」展(TWS渋谷にて2008年10月25日~11月16日にTWSとドイツ文化センターが共同で開催した展覧会。
ドイツ、インドネシア、イスラエル、イラン、レバノン、トルコ、日本より9名のアーティストが参加し、TWS青山にて滞在制作を行ったほか、準備期間から会期中に実施した
2回のフォーラムで各国の社会文化背景の違いと異なる立場をふまえた新しい社会の構築について活発な議論を行った。なお本展は、2009年度も継続して実施していく予定。

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