SITES UNSEEN – 真ん中から緑を呼び続ける –2021 4.28 - 6.12 |
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©Kotaro Ono / ©Mizuki Hatakeyama / ©Kazuya Sakamoto |
SITES UNSEEN – An endless call to life from the center -
真ん中から緑を呼び続ける-
会場:nca | nichido contemporary art
会期:2021年4月28日(水)-2021年6月12日(土)
営業時間:火 – 土 11:00 – 19:00 (日・月・祝 休廊)
Artist: 小野 功太郎 Kotaro Ono / 坂本 和也 Kazuya Sakamoto / 畠山 瑞規 Mizuki Hatakeyama
nca | nichido contemporary art は小野功太郎、坂本和也、畠山瑞規の3名によるグループ展「SITES UNSEEN –真ん中から緑を呼び続ける-」 を開催いたします。新型コロナパンデミック宣言から一年が過ぎた今も先の見えない状況が続いています。飛び交う憶測やメディアの過度な報道は、見えない不安と恐怖を煽り、私たちの精神をじわじわと蝕んでいるようです。本展タイトルのSITES UNSEENとは、「見えないところ」を意味します。「見えるものと見えないもの」についてはこれまでに多くの哲学者や思想家によって論じられてきました。私たちが目にしているもの、見えるものは個々の捉え方や歴史背景、環境によって異なり、偏見やその時の感情によって目の前の景色やかたちは姿を変え、見失うことで時にコミュニケーションのずれや違和感を覚えます。上記3名のアーティストは、これまで自身が抱える問題や課題、またそこに在る目には見えない空気や音、温度、風景をそれぞれの視点と表現によって可視化しようと試みてきました。コロナ禍における喪失感や息苦しさを抱える今、各々がそれをどのように受け入れ、向き合うのか。未来への課題を提示し、新しい発見へと導きます。本展では、この企画のために制作された最新作を発表します。
小野功太郎 (1992-)の絵画には、様々なかたちの不思議なクリーチャーが登場します。どこでもない場所のようでどこでもありうる、現実と異次元の境界を浮遊するような独特の背景に、それらが鮮やかに浮き立ちます。人や社会との関わりのなかで生じる他者とのさまざまな認識のずれや違和感、差異を埋めようと小野はクリーチャーと幻想世界に現実を変容させることで本質や自身の声を明るみにしようと試みてきました。探求するなかで身近な人々、動物、自然を観察したものを立体化してから絵画に表す、そのプロセスによって己を癒しながら豊かな感性による世界を構築しているのです。この世界の主人公である小野は自在にコントロールしながらも、どこか懐かしいような風景と、描かれるクリーチャーからあふれ出るエネルギーに、私たちに想像力を引き出してくれているようです。
坂本和也(1985-)は自身の趣味である水草の飼育(アクアリウム)を通して、生態系の構成要素のなかに現代の社会環境との類似性をみたことから、植物をモチーフにして物事の内面を表そうと探求しています。近年は他の植物との競争を避けるためにライフサイクルに時間差をつけることで繁殖、生存しようとする植物群や日陰の地で生息する、目立たない存在の水草をモチーフにした作品を多く手掛けています。反復と増殖を繰り返しながら綿密に描かれる多種多様の植物は生命を維持するために変容を繰り返す進化の過程を描いているようです。そこにあらわれる生き生きとしたエネルギーは、坂本が詳細に観察した植物や事物に生命力が付与し、流れ動く光と影、時間とともに大きな存在感をもって表舞台に現れます。
畠山瑞規(1983-)は自身が設定した一定のルールの基、波のような形象を画面に繰り返し描き、そこに偶然に発見したイメージの輪郭を浮き上がらせます。制作行為の痕跡と変化を記録しながら、意識に関わらず働く無意識の領域を模索し画面に表そうと試みています。無意識を意識的にたどる行為によって浮かび上がるイメージは、ある時は何処かの風景、ある時はキメラやヒトのような奇妙なかたちが現れます。それは一定の行為を繰り返しながらも、無意識の領域で働く多面的かつ複雑な感情の流動によって生まれた、畠山が求める理想郷やヒーローたちであるかのようです。視点を変えるとさまざまな表情をみせるそれらのイメージは、私たちに新たな気づきを与えてくれます。